生活習慣病という病

 なぜ多くの方が「申し訳ない」ような気分になってしまうのか。私は、以下の4つの理由からではないかと考えています。

1、「生活習慣病」という言葉

2、病気でなければいいのにという気持ち

3、自己責任論

4、医療者の思考と態度

 今回は、「生活習慣病」という言葉についてです。

 wikipediaから抜粋すると、

「糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられる疾患の総称。かつて加齢によって発病すると考えられたために成人病と呼ばれたが、1980年台から若者の発症も目立つようになり、その後の調査で生活習慣が深く関与していることが判明してきた。このため予防できるという認識を醸成することを目的として呼び方が変わった。」だそうです。

 ふーん、どんなに健康的な生活をしていても糖尿病を発症することはめずらしくないんですけどねぇ、、、、

 なんだかとってもモヤモヤします。ここは厚生労働省がなんと言っているか、見るべきですね。

 厚生労働省e-ヘルスネットによると、

「生活習慣が原因で起こる疾患の総称。重篤な疾患の要因となる。食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称です。以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防可能で、成人でなくても発症可能性があることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。」だそうです。

 後半ぼかしてますが、いきなり、生活習慣こそが原因、って言い切っているようにも読めるのですが、、

 私は糖尿病専門医として、少なくとも糖尿病について、この記載は適当でないし、正しくないと考えます。

 

 なぜ食べ過ぎもせず間食もしない禅僧の方の血糖が正常値を超えるのか。

 なぜ(稽古はたくさんするとはいえ)あれほど食べて太っている力士のほとんどが糖尿病ではないのか。

 

 それは、糖尿病の原因が生活習慣だけではないからです。

 必ず「血糖が高くなりやすい体質」が原因のひとつとしてあるからです。繰り返しますが、「体質ありき」なのです。

 「血糖が高くなりやすい体質」の程度によっては、本人がどれだけ努力をしようと血糖を正常範囲内に収められないことは実によくあることです。

 

 ですが、厚生労働省にこんな事を言われたら、誰でも「運動しない・食べすぎているから病気になってしまったんだ」と考えて、それまでの生活を後悔してしまっても仕方ありません。過去を後悔し、「申し訳ない」ような気分になってしまうのではないでしょうか。