病と自己責任論
「血糖値が高くなったのは私が食事制限を守れなかったからだ。」
診察室では、生活習慣病と呼ばれている病気の状態が芳しくないないときに、「私のせい」にしがちです。
これは日本に蔓延する自己責任論も影響しています。
自己責任とは辞書によると、
「 自分の行動には自分に責任が存在すること。自身の行動による過失の場合にのみ自身が責任を負うこと 。」
だそうです。
が、現在巷でいわれる自己責任論は、金融市場で発生する損金の会社から投資家への言い訳から発生して、生活保護等の公共福祉への締め付けの理由に用いられ、テロ組織に拉致されたジャーナリストの解放の件を経て、ずいぶんと違う意味合いを帯びているような気がします。
「努力すればうまくいく」という概念も作用して、
「病気は自己の努力でコントロール可能であり、それが上手くいかないのは努力の足りない自分のせい」
となりがちです。
しかし人間は持って生まれた体質をすべてコントロール出来ませんし、持って生まれた体質はひとそれぞれです。
自己責任論を病気にあてはめがちですが、これには無理があります。
自己責任論で自分を責めず、食事や運動を血糖値に影響を与える事象とのみ捉えてみるのはどうでしょう。
そもそも、血糖値が高くなりやすい体質はあなたのせいでもなんでもないですよ。
◎:院長
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